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琉球王朝より昔、三山時代以前をチュラ紀と定め、今帰仁村を中心に繁栄した北山地域の情報を発信しています。飲食関係は3回以上行ったお店のみの紹介です。

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動画から学ぶ、新垣ちんすこうの作り方

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沖縄のおみやげといえば、ちんすこう。

安くて、いっぱい入っていて、沖縄っぽさを感じるので重宝しますよね。

沖縄県文化観光スポーツ部が2014年度に調査した結果では、沖縄をはじめて訪れた人の62・8%がちんすこうを手にするそうです。スゴイですね。

ryukyushimpo.jp

今回は、ちんすこう御三家と呼ばれる新垣ちんすこうの作り方とちんすこうの歴史などのご紹介。

ちんすこうの歴史

簡単に、ちんすこう歴史をご紹介します。

ちんすこうがはじめて歴史上に登場するのは、沖縄学の父である伊波普猷(いは ふゆう)氏と琉球菓子研究家の安次富順子氏により調査された結果、琉球王朝末期から明治にかけてに書かれた「嘉徳堂規模帳」となっています。
それ以前に存在していたかどうかは、現存する資料では確認されていません。

沖縄には、清王朝からたくさんのお菓子の作り方を教わった記録が残っていますがちんすこうは末期まで登場しないお菓子です。

グルメ男爵である松山尚順琉球王朝最後の王子)が和三唐七という言葉を残しておられますが、和菓子と清菓子の良いところを学んだ菓子司が創意工夫して生み出したものというのが一番真実味がある話だと思います。

もともとは、木型を使い、菊の模様が上面にはいるデザインでしたが、戦後、生産性を向上させるべく新垣淑扶氏により、現在の側面ギザギザ型のちんすこうが生まれました。

側面ギザギザ型は、菊模様のお菓子を量産するにあたり、デザイン性をどう残すべきなのかという葛藤の結果ではないかと思われます。

最近はデザイン性にかけるちんすこうが増えていて、ちんすこうや琉球菓子に情熱を傾けていた先人たちの想いが薄れてきているように思えます。

ちんすこうとクッキー、ビスケット違い

小麦粉、油脂、砂糖でつくるお菓子といえば、クッキーやビスケットがあります。

日本では、クッキーとビスケットの違いを明確に定義していて、糖分と脂肪分の合計が40%以上の物をクッキーそれ以外をビスケット決められています。

ちんすこうの場合は、糖分と脂肪分の量に決まりはありません。ですが、油に動物性油脂を使うことが重要視されています。

これは、沖縄のニライカナイ信仰につながる壮大な話なので詳しくは割愛しますが、世界にはラード(豚脂)を食べれない方が多くいる中で、あえて油脂にラードを選択しているという点だけは忘れないようにしなければいけません。

最近は歴史的な経緯を無視して植物系油脂を使ったちんすこうもつくられていますが、クッキーやビスケットとして販売すれば良いだけの話で、違和感を感じずにはいられません。

ちんすこうの作り方

今回は映像でも公開されている新垣ちんすこうの作り方をご紹介していきます。新垣ちんすこうさんは本当に懐が広いです。

参考にする動画は、サイエンスチャンネルのTHE MAKINGです。

動画内にないコメントの補足を行えればとおもいます。

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砂糖に溶かしたラードを加えます。ラードの融解温度は28℃〜 40℃と幅が広いのですが、素手で持っているいるので、28℃から32℃ぐらいで、溶かしているのでは無いかと思います。


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先に、砂糖とラードだけを混ぜるのがポイントです。

固形状態よりも砂糖がまじりやすいのではないかと思います。
あと、ラードを溶かしているのでダマになりにくいのもあります。

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砂糖とラードが混ざったら小麦粉を加え、また混ぜます。ミキサーはざっくりと混ぜれるのが良いです。練り込むミキサーは出来上がりが固くなりがちです。

小麦とラードを捏ねる場合は、膨張剤を使いましょう。このあたりは、クッキーなどと同じです。

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混ぜ終わったものを、一度ほぐします。この後の圧延工程で大きな塊があると、空気が交じる可能性があるためだと思われます。

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圧延です。きちんと圧をかけることによって、小麦の力だけでも膨らみます。

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ちんすこうの形にするために型抜きをします。機械を使えば一度にたくさん抜くことが出来ます。

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抜かれた生地は、互い違いに置かれます。焼いた時にちんすこう同士がくっつかないようにする裏技です。

先が、丸まっているので、縦の距離が短く出来るのもちんすこうの素晴らしさ。機能美と言っても良いかもしれません。製造工程のことも十分に考え抜かれた洗練されたデザインです。

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160℃から180℃で25分焼きます。昔は、レンガ窯だったので短時間で焼いていたものと思います。160℃あれば、砂糖がメイラード反応を起こして、砂糖の美味しさが引き立ちます。

また、水を使ってないですが、ある程度水蒸気が出ます。時間をかければかけるほど、小麦粉についていた水分がしっかり抜けるので、160℃で長時間焼くのが理想的です。

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焼いたばかりのちんすこうは驚くほど柔らかいので、包装を早く行うためと、付着菌の繁殖を防ぐために、冷蔵機で冷やします。縦に動かしながら冷やすことで、工場の敷地面積を抑える効果があります。

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冷ましたら、小麦色でおいしいちんすこうが出来上がり。

編集後記

今回は、公開されている、新垣ちんすこうの作り方をご紹介しました。すべてのメーカーがこの作り方をしているわけでは無いですが、基本の作り方と思ってもらえればと思います。

卵を使ってはいけないという話がありますが、特に問題はありません。卵を使うと膨らみの安定が増すのと、手軽にサクサク感が出せます。

また、しつこいようですが、ラードをはじめとした動物性油脂をメインに使って下さい。植物系油は補助程度に抑えるべきです。それが沖縄の伝統文化を守り伝えることにつながります。絶対に、クッキーと同じですという状況にしないようにみんなで守りましょう。

作り方を知ると楽しいですね。みなさんもちんすこうの違いを楽しんでいただければ幸いです。

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THE MAKING (259)沖縄菓子ができるまで